焦りのバラード


信号が青になったのに動かない前の車。
自分の後ろに並んでいる車は待ち切れずとばかり、ゾロゾロと追い抜いていく。
走らないうちに信号が赤に。再び青になっても動かない。
どうしたんだろうと車から降りて動かない車の窓を覗いたら
“あれっ、死んでる?”

初老の男性が目をつむった状態である。

窓をコンコンと叩くとビックリした表情で
目を開け、こっちを見て何を思ったのか
エンジンがかかっているのにセルを回したため、
ギイギイと異音がする。

そのためか慌ててキーをオフにしたのかエンジンが止まる。
今度はエンジンをかけようと必死でキーを回しているようだ。
ドアを開け、どうしたんですか?と尋ねたら、

「いや、居眠りをしてたみたいで、
それよりエンジンがかからない。
どうしたんだべ」
と言いながら、更に焦ってキーを回している。
お客さん、ギアがDに入ってるからかからないですよ
Nに入れてください、と言い終わった瞬間、エンジンがかかり急発進。

あらら、そこは赤信号
危ないと思いきや、左右からの車たちが慌てて避けて事故にならずに済んだが、
その車、ドアが開いたまま走行していって見えなくなったが大丈夫だろうか

それにしても誰一人としてクラクションを鳴らさないこの風景は良いのか悪いのか…。

笑うセールスマン


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