今回は草刈機の修理依頼です。
入庫したのはアメリカ製の縦型エンジン搭載で、
故障内容はセルモーターのギアと噛み合う相手のリングギアの破損で、
当然エンジンが回らないのでエンジンがかかりません。
破損したリングギアを交換すればよいので、なんという事ではないと思っていたら、
何とその部品は生産終了でどこにも手配がつきませんでした。
このエンジンはアメリカ製であるが、日本の代理店が数多くあるにもかかわらず
どこにも在庫なしということで、早速中古品を手配したが、カラぶりでした。
いつものごとく、国産部品を改造し、あれこれやってみたものの、
希少な縦型エンジンに合うものもなく、いよいよ断念し代替を勧めようと企んでいたら、
お客様には愛着のある機械で、何とか直してくれという事でした。
再び挑戦することに。
悩んだ末、考えたのは、モーターではなく、ひもで引っ張るリコイル式はどうかと提案したら
それでOKとなりましたが、部品発注でメーカーに問い合わせたら、
そんな設定はないと、あっさりと断られる。
しかし、諦めるわけにはいかない。
アメリカの情報を片っ端から調べていたら、あった!!
それは船舶用エンジンとしてでした。
ここでも難題。
船舶部品は日本に販売ルートがないため、発送は困難と。
せっかくここまでたどり着いたのに……。
そこで梅村部長の登場。
あれこれで1ヵ月で部品が届くという事になったものの、本当に届くのか心配でした。
それが届いたのです。
さすがです。
船舶用が農機にピタッと合うはずはないだろうと思っていたのですが、
やはりその通りで、改造に時間がかかったが何とか完成。
紐を思いきり引っ張ると、エンジンの快音が響いた。
やれやれ…2ヵ月に渡る悪戦苦闘は成功の満足感より疲労感の方が大きい気がした。
調べているうちに分かったのですが、国産にもこの縦型エンジンがありました。
カワサキとクボタがあるようです。
縦型と言っても判りづらいと思いますが、横置きを縦にひっくり返し
下になったプーリーから直接動力を取り出す仕組みで走行と作業機を簡単に動かす構造で、
安く故障が少ないことだと思います。