蘇った名車


クラシックカーブームがエスカレートしている様で、特にアメリカでは日本車に引き合いが強く高値で売れているとの事です。当社のユーザーにもこの様な車好きの方が多く見受けられ、車庫に隠している懐かしい年代物の名車の修理が入庫します。

今回は日産グロリア昭和45年登録とかですが、エンジン不調修理依頼です。ボンネットを開けるとL20型エンジンで、見た瞬間頭の中ではシックスネスゲージを探してました。

始動時のエンジンのブレが激しく、マフラーでは苦しそうなリズムで黒煙を吐いています。

オートチョークのバルブを手で少し開けてみると調子は上がります。普通オーバーチョークと思い、そのバルブ調整となるのですが、なるほどこのキャブレターもその調整の苦労の痕跡が残っておりました。ところが違うのです。このエンジンは、冷間時タペットバルブの突き上げが原因で、圧縮不足の不完全燃焼となるのです。

やっと探し出したゲージで吸排気両方ともやっぱり、その突き上げが確認されました。温間30と25にセットするためのロッカーアームスクリュー、ロックナットが緩みません。ふつうはカムシャフトを外すのですが、タイミングチェーンを外す等作業が多くなるので、かつての記憶にある必殺技でロックナット戻しに成功。ギャップの調整でエンジンは、L20の持つ滑らかな回転が復活した。カブリ状態であったプラグの清掃でふけ上りも最高で、これで良しと一安心。

しばらくのアイドリングでそれが一定しないサージング現象が出て来た。なるほどその次があった。ブローバイのコントロールバルブである。不完全燃焼でカーボンが詰まったバルブを取り外し、清掃によりこれもグッドである。最後の仕上げは、点火タイミングで最高のバランスL20が蘇った。この様に記憶に残っている技術の活躍の機会はあと何回あるのだろうか・・・

 


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